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世界で活躍する城陽市民


JICA青年海外協力隊 ~環境教育隊員 坂本晴彦さんの活動紹介~

国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊2017年度4次隊員(2018年3月~2020年3月)として、城陽市出身の坂本晴彦さんが、パプアニューギニアに派遣されています。マヌス島ロレンガウの町役場に勤務する坂本さんは、環境問題に取り組み、街の美化活動や学校への出前授業なども行っておられます。
坂本さんの現地での活動の様子や町の概要を掲載していますのでぜひご覧ください。



2019年1月/活動の概観/マヌス島ロレンガウ町役場/JOVC2017-4/坂本晴彦
活動の概観 pdf340KB

アピヌン!みなさん、こんにちは。私は城陽市出身の坂本晴彦といいます。私は現在、青年海外協力隊の環境教育隊員として、パプアニューギニア独立国のマヌス島ロレンガウ町役場に派遣されています。(アピヌン(apinun)はパプアの公用語であるトクピシン語で「こんにちは」を意味します。)今回はこの場をお借りして、パプアニューギニアのなかでも僻地である私の赴任地、ロレンガウ町での活動内容について、簡単にご紹介させていただきます。
島の概要についてご覧になっていただいた方はご承知と存じますが、経済のグローバル化にともなって、自然のものを地産地消してきたマヌス島にもさまざまな外国の製品が入ってくるようになりました。

現在、町内には中国や東南アジアの人たちが経営する商店・薬局もあります。人が増え、町にお店がたくさん並ぶようになると、もちろんごみも増えます。しかし、マヌス島には日本のような焼却炉がありません。ごみ収集はマーケットや商店、あとは料金を払っている家だけ一軒一軒個別に集めます。ごみに対する関心は低く、各家庭でのごみの野焼きやポイ捨ては日常茶飯事です。ごみが増えるとそれに群がる蚊・ハエなどの害虫も増えます。これらの虫がマラリア・下痢などの感染症を媒介するため、ごみは島の景観や自然環境を悪化させるだけでなく、人々の健康被害にもつながっています。

こうしたなかで、私は学校での出前授業やイベント毎での清掃活動を通じて、町役場や町内の人たちとともに啓発活動を行っています。パプアの人々のおおらかな人柄もあり、町内の学校も協力的なので、快く私の活動を受け入れてくれています。昨年度は世界環境の日、独立記念日、アジア太平洋経済協力(APEC)開催に合わせたクリーンアップキャンペーンを行いました。清掃活動後の町は一時的にきれいにはなります。しかし、ポイ捨てがなくなるわけではないので、またすぐに汚くなるというくり返しになっています。また、ごみの処分方法も集めて積み上げるだけのオープンダンピング方式なので、処分場の汚染状況も深刻です。根本的な問題解決へのアプローチが必要と感じています。今後は学校での教育活動を継続しながら、町内に拠点回収のモデル地区を設定し、分別回収にも挑戦しようと思っています。
いろいろなことが急速に変わっていく現代社会。日本の社会が都市化していったように、マヌス島の人々もまた、現地で採れるブッシュフードとトロピカルフルーツだけの生活に戻ることはできません。持続可能な社会を実現するためには、その土地に応じて人びとのふるまいを高めていく必要があります。私の活動は残り1年3か月程度にはなりましたが、これからも現地の人たちとともにロレンガウ町の環境改善の一助になる活動をしていきます。

2018年11月5日/パプアニューギニア・環境教育隊員(2017-4)/坂本晴彦
マヌス島とロレンガウ町の紹介 
マヌス島の概要 pdf716KB

派遣地域と業務の基本情報

マヌス島はパプアニューギニア(PNG)最北端のアドミラルティ諸島に位置しており、その中でも一番大きな島です。エアニューギニ航空(Air Niugini)を利用して日本からパプアニューギニアへ行く場合は、成田から約7時間半かかり、首都ポートモレスビーからマヌス島へは約2時間かかります。マヌス島全体では人口がだいたい3万人くらいで、常夏の島と呼ぶに相応しい赤道直下の熱帯雨林気候、四分の三が手つかずの原生林に覆われています。毎日が非常に暑く、湿気も多いため、日本の梅雨に3-5度ほどプラスした気候と考えてもらえればわかりやすいかもしれません。
あまり知られてはいませんが、第二次世界大戦ではニューギニア戦線の要所として、戦後は大日本帝国軍人の拘留地として扱われており、日本と大きく関係を持つ島でもあります。地質は熱帯地域によくみられるラテライト(赤土)のため、トロピカルフルーツ以外の農作物の育ちはあまりよくありませんが、農地開発のためにこれまで州政府にはいくつかのJICAボランティア隊員が派遣されてきました。現在は州政府に2名、地方自治体に1名(私)、プライマリースクールに1名、合計4名のJICAボランティア隊員が派遣されています。
昨今の人口増加と経済のグローバル化にともなう輸入品の増加、それに付随するかたちで深刻化するセトルメント問題やごみ問題が島の景観の悪化・健康被害が起き始め、JICAボランティア派遣の要請が始まりました。この問題は太平洋各地域共通の問題として挙げられるもので、JICAではボランティア事業だけでなくJ-PRISMと呼ばれる廃棄物処理の技術協力事業を太平洋各地域で展開しています。


ロレンガウ町(Lorengau Town)

マヌス島には12の行政区域(町1、村11)が存在し、私はロレンガウ町に派遣されています。住民8000人程度の小さな町で、ウォード(WARD)と呼ばれる行政区域によって、町を1から7までに分割してカウントしています。宗教は基本的にキリスト教が宣教されていますが、宗派がいくつかあるので土曜日にお祈りをする人や日曜日に教会へ行く人など、さまざまです。食品の多くを輸入に頼っている状態で、ハーゲン地域(Hagen、PNG本島中部の山岳地帯)からは野菜作物が国内輸送されています。これらは基本的にはメインマーケットで売買されますが、地区4の小型のマーケットで販売されるときもあります。海産物は非常に豊富で、マグロ、カツオ、貝、蟹、ロブスターから亀に至るまで多種多様な海の恵みを食することができます。なおマーケットと言えば聞こえはいいですが、要は露店です。またスーパーマーケットや薬局の経営のため、中国、フィリピン、インドネシア、インドからいくつかの会社がロレンガウに入ってきています。オーストラリアからの輸入品も多いですが、オーストラリアのスーパーマーケットが存在するわけではありません。なお、他の村に行くにはPMV(Public Motor Vihicle)に乗ってハイウェイを移動するのですが、道路整備がなされていないので大きな穴がいくつもあり、とりわけ西側への移動は非常に困難です。そのため、ボートを利用して移動する人も多いです。

マヌス島の行政区域(6番目に位置しているのがロレンガウ町)




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